惨事

病を得たり!

病気の上澄みを掬って生きている

この秋、病気が分かって「またか」と思った。治らない、いわゆる「寛解」にしか持ち込めない病気になるのは2回目である。

 

1個目の病は14歳の時、意識消失が数回起こり、側頭葉に異常があることが分かった。

意識だけはもう絶対に無くしたくねえ……。
私の場合は、左半身の異常な動き、特に目の制御が効かない感覚から始まる。
そして意識がなくなる直前に起こる恐怖発作、それが本当に怖い。
「自分が絶対に死んでしまう」という確信が起こり、パニック状態になる。息が吸えない。だんだん自分が剥離していくような感覚になる。そして意識はなくなる。

意識が消失するのは数分程度だが、自分からしたら何倍も時間がたったようなショックを受けている。何よりも他者にこの姿を見られたことがつらい。

学校で発作を起こして救急車に乗せられる時点で意識を回復したことがあるが、その時全クラスから野次馬が見ていたのが最悪だった。まあ私も見にいっちゃうと思うんだけど……。

思春期を超えて、もう10年意識消失は起こしていない。デジャビュは頻繁に起こるが、病気のせいとは限らないと思って、気にしないようにしている。第六感がめちゃくちゃあるマンみたいなもんだと思えばよい。
もう一般的な基準でいえば断薬してもよいと思うが、なんだか勇気が出ない。

そして2個目、年間発症率は100万人に2~5人というSSR難病を引き当てた。
なんだその病名、聞いたことねえ!!!!!
原因は不明!完治というものはない!クソ!ありがとうございました!!!
メチャクチャ取り乱してしまった。

おもしろ病(やまい)を2個装備したわけだが、毎回周りからは「軽くてよかったじゃん」と慰められてきた。

そりゃそうで、脳の機能障害は重く出れば、生活や意思の疎通がかなり大変である。
16の時に連れられて行った専門病院では、明らかに私よりも病状が重く障害がある、と一目でわかる人たちが多くいた。
そういう人たちを見て、よかった、私は重くなくてと安堵したことも事実である。
初診のとき、まあまあ偏差値の高い学校の制服を着ている私を見て、医者も安心だねと言っていた。大学進学もかなり喜んでくれた。

今回の難病も早めに見つかり、治療は順調にいっている。ただの疲れと間違えて放置され、重症化するケースが多い病気らしいのでラッキーである。車いすになったり、杖が必要になったりすることもない。

家族から病院大好きとか、心配性すぎるとか言われまくっていたけど、些細な変化でちゃんと病院に行っていてよかったじゃんと思わなくもない。みんなちゃんと病院には行って。

病気が軽くてよかったのはわかる。でも、なんだか身の置き所がない。
自分は14の時から健常者ではない。見た目上わかるものではないけど。
2個目の病気も装備してしまい、難病の医療費助成申請書、大量の薬、ますます健康ですとは言えない。

でも、それぞれの病気で苦しんでいる人からすれば、かなり症状が軽くて毎日病気の発作に苦しめられていなくて、幸せな人間なんだと思う。
病気の上澄みを掬って、病弱ヅラして生きていると言われたらそれまでの気がする。
自分っていったいなに……??


健康でありたかった気持ちはもちろん強い。
婚活をしていて、「子供が欲しい」と書いてある人にはあまり近づけなくなった。
子供産めるのかわからないよ。理論的にはいけるかもしれないけど、母体は薬漬けな訳だから……。そういう人の子供が欲しいというわけではないでしょ。

私の場合は、ガチャや宝くじみたいな病で、自分ではどうしようもなかったわけだけど、自分でも守れる部分は自分で守りたいですね……。暴飲暴食には気を付けよう……。
皆さんも健康を大切にしてくれ。